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アフリカ・エッセイコンテスト受賞作品を紹介
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東京学芸大学附属大泉中学校3年
山田勇輝(やまだ・ゆうき)くん 15歳

「チョコレートと私」
 
(原文のまま掲載しています)

 私の学校の社会の授業で、今アフリカについて学んでいる。アフリカと聞いて最初のイメージは、全く自分には関係のない砂漠の世界であった。中国製のノートはよく見るが、アフリカ製の物なんて聞いたこともない。自分が何かアフリカを助けているわけではないが、アフリカから助けてもらっていることもないと思っていた。

 話は変わるが、私の一番好きな食べ物はチョコレートである。小さな頃からいつでもチョコレートを手に握っていたらしい。チョコレートを食べると、口の中で甘さがじんわり広がり、嫌なことを忘れられる。私にとっては「幸せの味」である。しかし、このチョコレートはある人々にとっては「幸せの味」からかけ離れていることを、先生から習った。ある人々とは、アフリカの人々である。チョコレートの原料のカカオは、アフリカで作られている。アフリカの中でもコートジボアールは世界最大のカカオ産地で、世界全体の43%のカカオを作っている。こんなすごい量のカカオをよく一つの国で生産できるな、と私は感心した。だが、それは感心すべきことではなかった。これを作っているのは、奴隷として働かされている子供たちなのだ。子供たちは、さらわれたりだまされたりして連れて来られる。防具なしで危険な農薬を撒かされたり、朝6時から夕方6時半ごろまで働かせられたりしている。私は驚いた。チョコレートは、「幸せの味」なんかではなかった。砂漠みたいに蒸し暑い中で、ただひたすらカカオを収穫する子供たち。自分だったら絶対に耐えられない。死んだ方がマシだと思ってしまう。この事実を聞く前には、奴隷というのはいなくなったものだと思っていた。だが、違った。こうして私たちが学校で勉強したり、遊んだりしている間も、カカオを取り続けている私たちと同じぐらいの年代の人がいる。何か一部の人たちにたくさんの不幸を背負わせている世界。

 私は、アフリカの人達のために何かしたいと思った。何でもいいから。しかし、思いつかなかった。自分がアフリカに行ったところで解決できるわけではないし、募金したところでその子供たちが救われるわけではない。別に募金を否定しているわけではないが。ある時、私は図書館で戦争の本を読んでいた。その本は、国境なき医師団というグループが書いた本だった。そこに、こんなことが書いてあった。国境なき医師団は、テレビやラジオで、そしてアメリカへも国連へも訴える。だがマスコミが注目するのは一瞬である。だから、ここで見たことを一生忘れない。子供にも孫にも語り伝えるのだと…。

 私も、まずはたくさんの本やビデオを見てこの事実を受け止めたい。そして、語り伝えるまでになりたい。だから、チョコレートを食べながら、私はアフリカを思い続ける…。
審査員コメント:
●「チョコレート」という思いもよらない発想が楽しい。誰でもができそうで具体的で良い!これが選定の第1条件にしました。「途上国へなにができるか」という問に対して、中学生の多くは「募金」か「節約」の2つの答えが圧倒的である。しかし、選定した作品は、大それた事ではなく、「チョコレート」を食べたりするたびに思い出すこと、考えることからはじめようというメッセージが伝わってくる。山田君は「児童労働」の問題を思い出してほしいという願いに近いものを感じた。
●チョコレートを食べるだけの立場(「幸せの味」)から、カカオ(豆)を栽培し、育てる立場(「幸せ」とほど遠い)への理解力・想像力を働かせているところが、立体的・重層的でよかったと思いました。

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埼玉大学教育学部附属中学校2年
近藤果林(こんどう・かりん)さん 14歳

「千円つかうたびにアフリカを思い出そう。」 
(原文のまま掲載しています)


 アフリカのために何かしたい。でも何をしよう。アフリカのはほとんど未知の世界だ。距離的に遠いだけでなく、関心という点でもアフリカはすばらしく遠い。
 
 日本人はアフリカよりも狭い地域である北米やヨーロッパにはくわしい。知らなくても困らないアメリカの大統領選挙のことや、アメリカの芸能人のニュースや、アメリカではやっているお菓子についてのことはとても詳しい。私も、パソコンを開ければすぐアメリカのニュースだ。でも、アフリカについては、地理の授業を除けば、一度も話題にならないで一ヶ月が過ぎる。

 関心を向けてみよう!アフリカに関心を向けさえすれば、何かできるはずだ。では、どうしたら、私たちはアフリカに関心を向けることができるだろうか。

 アフリカ・・・アフリカ・・・?

 アフリカといえば、私は、1000円札になっている野口英世のことを思い出す。わたしの母の田舎が福島県で、野口英世のふるさとだ。なんとなく田舎のおじさんに似ているのもあって、私は野口英世が好きだ。黄熱病で苦しんでいるアフリカの人を救うため、住んでいたアメリカからアフリカに行き、そこで黄熱病の研究に取り組んだ立派な研究者である。

 アフリカの人を救う、その精神こそ思い出すべきだ。

 そうだ!だれでも野口英世の肖像のついたものは1枚や2枚持っている。たぶん毎日みているだろう。そう、千円札だ。野口さんは大好きで、もらえるとうれしい。もちろん福沢諭吉のほうが嬉しいが。千円札の野口英世をみるたびに、アフリカのことを思い出すとよい。

 さあ、1000円使うたびに、アフリカを思おう。

 ゆっくりみていたら、野口英世の顔は、田舎のおじさんではなくて、アフリカ大陸の形にみえてきた。ガーナあたりから、ぐるっと北アフリカ、ソマリアあたりまでが英世の髪。少しアフリカ大陸のほうがやせているが。アフリカ大陸は野口英世の顔の形にそっくりだ。すごい!!

 見るたびにアフリカのことを思い出していたら、とてもアフリカが身近になっていく。

 素晴らしいことだ!

 アフリカにはどんな国があるのかな。どんなすばらしい文化があるのかな。どんなことに困っているのかな。なにか私たちに手伝うことはあるのかな。千円札を見ていたら、千円をアフリカのために使いたくなるかもしれないな。





審査員コメント:
●「千円札」という思いもよらない発想が楽しい。誰でもができそうで具体的で良い!これが選定の第1条件にしました。「途上国へなにができるか」という問に対して、中学生の多くは「募金」か「節約」の2つの答えが圧倒的である。しかし、選定した作品は、大それた事ではなく、「千円札」を見たりするたびに思い出すこと、考えることからはじめようというメッセージが伝わってくる。近藤さんは「人を救う精神」、の問題を思い出してほしいという願いに近いものを感じた。
●野口英世の顔とアフリカの地図を関連づけていることが面白い。

 



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アフリカ2008キャンペーンは、「がんばるアフリカ」を応援するために2007年3月から始まりました。
2008年5月に横浜で開催される第4回アフリカ開発会議(TICAD IV)に向けて、アフリカの人の声を届けます。
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